サイン


前回、前々回と幟や旗などのサインについて言及したが、このようなサインは非常事態、災害時に特に効果を発揮する。次の写真は東日本大震災で重大な被害を受けた宮城県女川町で実際にあったケースだ。

阿部養建設
震災直後に立てられた『皆無事アベヨウ皆無事です』の立て看板

「皆無事アベヨウ皆無事です」宮城県女川町の被災現場で掲げられたこのサインの意味するものは深い。まずはここにいたこの会社の従業員が皆無事であったこと。この会社の従業員に関しては安否確認が取れたということだ。これは行方不明者の捜索に当たった自衛隊や消防・警察、そしてインド隊にとってどれほど有り難かったことか。このほかこの辺りではレストランすえひろによる同じような安否を伝える立て看板があった。逆に言うと、その地区にはそういったサインが2つしかなかった。

絶望的な状況下での一筋の光。皆このサインにどれだけ勇気づけられたことか。また、実際の行方不明者の捜索にあたり、このような現場での安否情報は貴重だ。捜索計画を立てる際にも大いに参考になる。偶然この立て看板を作った阿部養建設の阿部社長に、当時のお話を伺う機会を得たので、そのときの状況を直接聞いてみたことがある。すると、この立て看板のアイデアは阪神淡路大震災からヒントを得たのだという。詳しい説明はまた別項に譲るが、私たちも緊急時災害時被災時に「何を誰にどのによう伝えるのか」今後の防災のあり方を考えるきっかけとなる示唆に富む事例だ。


津波避難訓練とオレンジフラッグの意味


7月22日神奈川県鎌倉市の市内3か所の海水浴場で津波避難訓練が行われた。報道によると約2000人の海水浴客などがこの訓練に参加したという。

そこに登場したのが「オレンジフラッグ」。このオレンジ色の旗は津波警報を知らせるサイン。津波を知らせるサイレンがなると、ライフガードや海の家の関係者が、この「オレンジフラッグ」を振って、海水浴客に海からの避難を呼びかける。時にサイレンや防災無線などは屋外だと風に流されて聞こえにくくなったり、場所によっては聞こえづらいところもある。ましてや、海岸から離れた沖にいるケースや、聴覚障害者、日本語のわからない外国人などにとっては、この「オレンジフラッグ」の意味がなんであるのか?知っているのと知らないのとでは避難の初期行動に大きな違いが出る可能性もある。松尾市長のいうように全国的に「オレンジフラッグ」=「津波」の認識を高めていくことが大切だ。

最後に、鎌倉市が作成した津波シミュレーション動画のリンクをひとつ。
『強い揺れが長く続いたら…津波!』『海から離れ高いところへ足で避難』これが原則。
鎌倉市沿岸の場合、津波到達時間は約8分といわれています。これからいよいよ海水浴シーズン。もしもの時の避難経路の確認も忘れずに。

鎌倉市/鎌倉市津波シミュレーション動画 鎌倉で津波から生きのびる https://www.city.kamakura.kanagawa.jp/sougoubousai/tunamisim2804.html